日高山脈が国立公園に? ~ 日本最後の秘境を守ろう!

2020年10月8日

GIS「JSMAP2」で夕張岳データを使って作成しました

日高山脈はすでに「日高山脈襟裳国定公園」として国定公園に指定されていますが、2021年度にも国立公園に格上げされそうな運びになっています。

そこで、日高山脈の魅力について紹介します。

1.日高山脈の概要

パンケヌーシ岳より芽室岳

日高山脈は、大雪山と並んで北海道の屋根を成す150kmに及ぶ山脈です。北は狩勝峠の北側にある佐幌岳から始まり、南は襟裳岬で海に没します。最高点は幌尻岳で、標高が2,052mと、大雪山以外では北海道唯一の2,000峰です。

日高山脈の最大の特徴は、氷河地形が残っていることです。日本アルプスに見られるカール地形が、日高山脈にもあるのです。日高山脈は雪がそれほど多い地域ではありませんが、1万年前の最終氷期にも氷河が存在していました。

大雪山の方が雪が多いし標高も高いので、大雪山にもカールがあってもおかしくないのではと言われます。実際に怪しい地形がたくさんあり、恐らく一部は氷河地形だと思いますが、火山性の大雪山の山々にあるカール地形は保存状態が良くありません。対して非火山性の日高山脈には、はっきりとした氷河地形が残っています。

また日高山脈は、人里離れた山深さが他とは段違いです。一番人が訪れる幌尻岳にしても、人家のある場所から数十キロも山に入ります。下界から隔絶される感覚は、日高山脈に行くときが一番大きく感じます。

そんな自然が日本で一番保持された日高山脈が国立公園化されそうです。自然の豊かさから言えば当然のことですが、簡単には魅力にたどり着けないので、時間が掛かりました。

2.代表的なカールをご紹介!

日高山脈の魅力はカールです。日高山脈を代表するカールを紹介します。

七ツ沼カール

出典:平取町 公式

七ツ沼カール(写真左下)は、幌尻岳の東側にある日高山脈を代表するカールです。名前のとおり、カール底に沼が点在しています。カール底は高山植物の宝庫でもあることから、ヒグマも良く姿を現します。そのため、テント泊は注意が必要です。

沼の水は、秋には枯れることが多いです。水を湛えた姿を見たい場合は、夏に行くと良いでしょう。

北カール

北カール(写真右上)は、幌尻岳の北側にあるカールです。幌尻山荘から幌尻岳への登山道を進むと、北カールの縁に着きます。そこから幌尻岳山頂まで、北カールの縁沿いに登山道が続きます。

道には高山植物がいっぱいで、ナキウサギの鳴き声がこだまする素晴らしい道です。私が登った登山道の中でもトップクラスのお気に入りの道です。機会があればぜひ行ってみてください。

八の沢カール

カムエク山頂から左下に八の沢カール

八ノ沢カールは、カムイエクウチカウシ山(1,979m)にある有名なカールです。カムイエクウチカウシ山には正式な登山道がなく、登山上級者でないと行けません。カール直前には滝が連続する危険な場所があり、滑落すればタダでは済みません。

そんな道を詰めると、八の沢カールの絶景が広がります。ヒグマに襲われた事件のイメージが未だに強いですが、それ以降、北海道でヒグマによる登山者の死亡事故は起きていません。適切な行動を取れば、ヒグマに襲われることはないでしょう。

トッタベツカール

左が戸蔦別岳で、右が北戸蔦別岳。

戸蔦別岳の東側には、トッタベツカールがあります。トッタベツカールは3つのカールで構成されていて、A,B,Cと番号が付けられています。

トッタベツカールに行く道はなく、沢登りでも通らない場所なので、ほとんど人が訪れない秘境と言えるでしょう。伏美岳から良く見えるカールです。

十ノ沢カール

ほぼ中央にあるのが十の沢カール

十の沢カールは、私が日高山脈で一番好きなカールです。札内川の奥に位置するエキスパートの登山者しか行かない場所ですが、十勝幌尻岳山頂からの姿が素晴らしいです。

ペテガリ岳カール

GIS「JSMAP2」で広尾データを使って作成しました

ペテガリ岳東面にもカールが3つあります。トッタベツ岳と同じくA,B,Cと番号が振り分けられています。十勝平野から日高山脈のカール地形は良く見えないのですが、ペテガリ岳のカールだけはハッキリと見えて、迫力があります。

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3.気軽に楽しめる日高山脈の場所は?

日高山脈の真髄を楽しむには十分な経験と気力が必要ですが、すそ野であれば気軽に楽しめる場所があります。これまでにも記事として用意していますので、ぜひご覧ください。

まだ記事にしていませんが、「豊似湖」も注目の観光地です。

4.自然を守るための国立公園化であるべき!

makieniさんによる写真ACからの写真

日高山脈が国立公園に昇格するのは喜ぶべきことですが、すでに観光需要を見越した動きが見られます。

しかし、日高山脈の魅力は手付かずの自然です。それに日高山脈の素晴らしさが実感できる場所は人里から遠く離れた場所です。そこを観光地化するには莫大なお金が必要です。かつての日高横断道路の二の舞は避けなければなりません。

日高山脈が国立公園になることで期待したいのは、自然の保護です。私はかつて登山をしていましたが、日高山脈の日高側に別格の自然度を感じました。これは、大雪山知床でも感じることができません。その自然をいつまでも残すための国立公園化であって欲しいです。