アポイ岳~登る前に最低これだけの花を覚えておこう!

2020年9月4日


地図は「さっぽろ周辺マップ 浦河」より

日高山脈の南部にある花の名山「アポイ岳」。5月のゴールデンウィークから花が咲き始め、北海道では最も早く高山植物を楽しめる貴重な山です。そして、日高山脈にある山のどれもが険しく中級以上の登山技術が要求される山が多い中、アポイ岳は小学生でも登れるほど安全で整備が行き届いています。

そのアポイ岳に登るなら、花が多い5月が一番楽しめるでしょう。そして、せっかく登るのなら、代表的な花を覚えてはいかがでしょうか。花を探しながらの登山の方が、楽しみ方が増えておすすめです。

そこで今回は、登山道のポイントごとに、代表的な花を紹介します。

1.登山口周辺


「エゾオオサクラソウ」

登山口周辺は標高100mほどしかないため、平地の野花を見ることができます。特に目立つのが、エゾオオサクラソウです。登山道沿いに大きな群落がいくつもあり、楽しめるでしょう。


「フイリミヤマスミレ」

少し標高が上がると、ミヤマスミレが咲いています。平地で良く見かけるタチツボスミレよりも標高の高い場所に咲くスミレです。その中に、葉の葉脈が白いスミレが見つかります。これがフイリミヤマスミレで、判別の難しいスミレの中で、非常に分かりやすいです。

2.五合目周辺

アポイ岳の5合目には、避難小屋と携帯トイレブースがあります。ここから先は急登なので、大休止すると良いでしょう。


「アポイアズマギク」

ここから先は森林限界になって、高山植物が姿を現します。目立つのはアポイアズマギクで、ここから上部で広範囲に見つかります。


「サマニユキワリ」

そして、ここから山頂にかけて良く目にするサマニユキワリが咲いています。サマニユキワリは、大きな株もあり、見応えがあります。


「アポイタチツボスミレ」

スミレでは、葉が小さくて色の濃い個体が見つかるでしょう。これはアポイタチツボスミレで、アポイ岳の固有種です。

馬の背までは急な登りなので、花を楽しみながらゆっくりと登りましょう。

3.馬の背


「アポイクワガタ 5月下旬」

馬の背に出ると、日高山脈の中央部への視界が開けて、様似の海岸線も眼下に広がります。息を整えたら、さっそく花を探してみましょう。小さいですが鮮やかな花が見つかると思います。これはアポイクワガタで、普段見るエゾヒメクワガタよりも色が濃くて鮮やかです。


「ヒダカイワザクラ」

馬の背より先を進むと、岩の隙間を歩くようになります。その岩場には、ヒダカイワザクラが岩に貼り付くように咲いています。


「エゾキスミレ 5月下旬」

また、岩場のところどころにエゾキスミレが咲きます。日高山脈で広範囲に見られるケエゾキスミレよりも色が濃いです。

その他の花で特徴的なのはチングルマでしょうか。1,000mにも満たない山にチングルマが咲きます。咲く時期も5月下旬で、他の地域よりも早く咲きます。チングルマは高山ではおなじみで貴重性はないですが、この場所で見れるのは意外で興味深いです。

4.山頂付近


「チシマザクラ 5月下旬」

山頂付近でアポイ岳は再び木々に覆われます。ダケカンバが主ですが、チシマザクラもあるので、5月下旬は花見ができるでしょう。

アポイ岳山頂から吉田岳への稜線も、花が多いです。体力と時間に余裕があったら寄ってみましょう。しかし、幌満お花畑へ行くことを優先してください。

5.幌満お花畑

アポイ岳山頂から幌満お花畑へは、笹原を降りて行きます。ところどころにショウジョウバカマが咲いていますが、あまり花はありません。幌満お花畑付近は、広場になっているのでザックを下ろして休憩しましょう。


「アポイキンバイ」

周辺はアポイキンバイが多く咲いています。幌満お花畑は5月以外にはあまり花がないため、花がないとブログで嘆いている人を見かけます。ぜひ、5月中に行ってください。期待通りの花に出会えるはずです。

幌満お花畑から馬の背へトラバース道があります。木々の中の気持ちの良い道です。

6.登山口周辺の施設紹介

アポイ岳ジオパークビジターセンター


出典:アポイ岳ジオパーク

登山後に時間があったら、アポイ岳ジオパークビジターセンターに寄ってみると良いでしょう。アポイ岳は、地質学的に非常に貴重な場所であることが分かります。アポイ岳は、ユネスコが認定した世界ジオパークに選出されており、北海道では他に有珠山周辺が選ばれているだけです。

アポイ岳を構成するカンラン岩は、地球の奥深くのマントルで生成されます。日本列島は地殻変動が激しい場所なため、アポイ岳などで見ることができるとのことです。

アポイ岳のカンラン岩は、マントルにあった時から変性が少ないため貴重だそうです。夕張岳トッタベツ岳などでは蛇紋岩が見られますが、これはカンラン岩の変性が進んだ岩石とのことです。カンラン岩も蛇紋岩も塩基性で通常の植物が育ちにくく、塩基性でも生きていける特殊な種が育ちます。アポイ岳夕張岳が花の山として有名なのは、構成する岩石によるものです。

アポイ岳ジオパーク公式

アポイ山荘

アポイ岳は日帰りもできますが、札幌からだと強行軍となってしまいます。できれば1泊して、ゆっくりと山行を楽しむと良いでしょう。そこで、登山口付近にアポイ山荘があり、宿泊できます。また、温泉ではありませんが広い浴場もあるので、登山後に汗を流すのに最適です。

おみやげなども売っていて、アポイ岳に行ったときは、ぜひ立ち寄ってください。

アポイ山荘 公式

7.アポイ岳の地図/行動ログ

アポイ岳へ登る時の地図ですが、スマートフォン用のYAMAPアプリを使うと良いでしょう。
地図だけでなく、登った時のログも取れますから一石二鳥です。

使い方は、以下の投稿を参考にしてください。

地図アプリ「YAMAPアプリ」を使ってみた。

8.ヒダカソウがいつまでも咲いていて欲しいです


「ヒダカソウ」

ここまでの紹介では出てきませんでしたが、アポイ岳で一番人気の花は、ヒダカソウです。しかし、ヒダカソウは登山道脇ではなかなか見れません。登山道脇にある個体が必ず咲くとは限りませんし、咲く時期が合わない場合もあります。

ヒダカソウが咲くのはゴールデンウィーク期間ですが、見れずに終わる可能性の方が高いでしょう。例え見れないからと言って、登山道を外れて探すことはやめましょう。

代わりと言ってはなんですが、ヒダカソウの近縁種にキタダケソウがあり、南アルプスの北岳で見れます。しかし6月の残雪も多い梅雨時期に咲くため、見るには登山技術が求められます。なかなかうまくいかないものです。

温暖化が進んで、ヒダカソウの生育に適した場所が少なくなってきています。アポイ岳を代表する花はヒダカソウなので、いつまでも咲き続けて欲しいです。