楽古岳 ~ 渡渉や直登がある日高らしい山

2023年5月12日

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出典:Wikimedia Commons

楽古岳(1,472m)は、日高山脈南部では数少ない、主稜線に登山道がある山です。山容に特徴がなく区別が付き難い日高山脈の山々ですが、楽古岳は、日高側からも十勝側からもピラミッドの形が特に目立ちます。それもあってか、楽古岳には日高側からも十勝側からも登山道が付けられました。

しかしながら、十勝側登山道は、楽古川の氾濫によって林道が幾度と不通になったこともあり、廃道となってしまいました。楽古川があるのは十勝側なのに。今は、日高側登山道のみが使えます。

それでは、楽古岳登山をご紹介しましょう。

1.楽古岳へのアプローチ

楽古岳登山口には、楽古山荘があります。まずは、楽古山荘を目指します。

国道236号線から派生するメナシュンベツ川沿いの林道を進みます。最初は牧場などが広がって、のどかな風景が広がりますが、山が迫ってくると状況は変わります。楽古山荘近くになると断崖絶壁の部分があり、道に落石が転がっている時もあります。特に悪天候の後は気を付けてください。パンクにも要注意です。

楽古山荘は、2階建ての快適な山小屋です。駐車スペースも十分あります。車でアプローチできる日高山脈山小屋の中では一番の存在と言って良いでしょう。

2.楽古山荘から楽古岳登山口まで

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地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

楽古山荘が事実上の登山口ですが、実際の登山口メナシュンベツ川上流にある尾根取り付きにあります。その登山口までは、メナシュンベツ川渡渉を繰り返して行く必要があります。

登山スタートで、いきなりメナシュンベツ川を渡ります。ここにはスリット型の砂防ダム?があり、その上を通って対岸へ渡ります流されてしまったようで、普通に渡渉になります。それから、メナシュンベツ川沿いの道を進みます。渡渉5回と言われていますが、状況によって変わるでしょう。また、雨で増水していると登山靴を濡らすことになるので、沢靴があった方が良いでしょう。

私が登った時は、行きは沢靴で、帰りは多少濡れても構わないということで登山靴のままで渡りました。登山靴ゲーター(ロングスパッツ)を付ければ、一気に渡ることで浸水を防げると思います。

3.楽古岳登山口から1,317m肩まで

日高山脈中央部から南部は、谷が深く稜線も細いことで知られています。楽古岳は、コイカク(1,721m)やペテガリ岳(1,736m)、神威岳(1,600m)よりは大変ではないですが、他の山域にはあまりない急登であることに変わりありません。

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楽古岳頂上方面

登山道の最初こそジグがあるのですが、それからはまっすぐ急な登山道が伸びています。もうずっと続くので、登るのが嫌になってきます。これほど変化に乏しい登りも少ないでしょう。唯一、1,100m付近に緩やかな場所があり、楽古岳山頂から南方面の稜線が見渡せます。とにかく、1,317m肩を目指しましょう。

4.山頂まで

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1,317m肩で、ようやく一息できます。そこからは細い稜線を登ります。このような細い稜線って北海道ではそれほど味わえないです。特に危険はありませんが、つまづいてバランスを崩さないようにしましょう。

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左に十勝岳 遠くに日高中央部の山々

山頂は思ったよりも広くて、360度の大パノラマが広がります。隣の十勝岳(1,457m、大雪にある十勝岳ではない)が大きく見えます。もう日高山脈中央部からは離れていて、山名の分かる山がほとんどないですが、どこまでも続く山々が印象的です。

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南側にも山々が連なりますが、主稜線を外れた場所にピンネシリ(958m)やアポイ岳(810m)が見えるのが印象的です。ピンネシリの尖った3つのピークは、どこから見ても目立ちますね。

登山データ

登山時間:登り3時間30分
標高差:1,120m

5.9月下旬からがおすすめ

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楽古岳登山道の下部には、ミズナラカエデの木が多くあります。そのため、意外にも紅葉がきれいです。私が行ったのは10月中旬ですが、大雪高原温泉紅葉も終わって見納めをしたはずなのに、楽古岳で再び紅葉を楽しめました。あまりにも紅葉の写真を撮ったため、いつしか登山者の最後尾になっていました。秋は日が暮れるのが早いですから、気を付けましょう。

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ひとつだけ注意点日高山脈南部の山はダニが特に多く、私は秋に登ったのにも関わらず、ダニが付いてきました。日高山脈北部であれば、7月になるとダニはそんなにいなくなりますが、南部秋だからと言って油断はできません嚙まれたら皮膚科に行かなければならないですから、十分注意しましょう

6.次へのステップへ踏み出そう!

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出典:Wikimedia Commons カムイエクウチカウシ山

楽古岳登山ができれば、もっと困難な神威岳幌尻岳(2,052m)を目指したくなります。これらの山の渡渉登山道のタフさは、楽古岳以上です。そして、渡渉こそほとんどないけれど、ペテガリ岳はさらに困難な登山を強いられます。

このように日高山脈には、登山道があっても簡単に登れない山が多くあります(イドンナップ岳とか)。そして、カムイエクウチカウシ山(1,979m)など、登山道がない山も少なくありません。これら山に登るためには、十分な登山スキルと装備を持たなければなりません。当然、困難さを伴いますが、叶えられた時の満足感は、他にはないものになるでしょう。

私は登らないで終わった山が多くありますが、ぜひ皆さんには無理をせず登ってもらいたいと思います。