然別湖 ~ 大雪山国立公園唯一の自然湖

2023年1月29日

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白雲山からの然別湖

大雪山国立公園東大雪地区に、大雪山国立公園唯一の自然湖、然別湖があります。大部分を火山で構成される大雪山国立公園ですが、意外と湖がありません。そして唯一の然別湖は、表大雪から離れた場所にあるため、観光客が少なめで、静かな佇まいをしています。

然別湖を紹介する記事はたくさんあるので、私は違った視点で紹介したいと思います。

1.然別湖の成り立ち

然別湖は、ヤンベツ川西ヌプカウシヌプリ東ヌプカウシヌプリなどの噴火で堰き止められて出来ました。しかし、地図を良く見てください。然別湖底は平坦な部分が多く、しかも深いです。そのため、カルデラの要素もあるのではと言われていました。今は堰止湖で落ち着いているようです。

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白雲山から岩石山を望む

そして、然別湖の周りには小さな火山がひしめいています。両ヌプカウシヌプリ白雲山天望山など南部の山は熔岩円頂丘で、今から2万年前くらいまでは活動していたようです。その中でも最も新しいと思われるのが、白雲山と隣にある岩石山で、岩石山が一番活動していた時の面影が残っています。

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地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

また、然別湖に行く途中にある駒止湖は、噴火口に水が溜まったと言われています。

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上空から見るとハート型をしていて、プチ豊似湖といった感じです。なお、駒止湖の湖畔には降りられません。

もう一つの小さな湖、東雲湖(しののめこ)は、堰き止め湖と言われますが、円形の形なので噴火口かもしれません。

今は静かな然別湖周辺の火山ですが、地球の歴史を考えれば最近まで噴火していたとも言えますし、今後噴火がないとは言い切れないでしょう。

2.然別湖の通常の観光コース

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然別湖を訪れた観光客は、然別湖畔温泉で乗り物から降りて、付近の散策や遊覧船然別湖を観光します。そして、湖畔温泉にあるみやげ店などで買い物をした後、然別湖を後にします。

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また冬は、凍結した然別湖の湖上に出来る、氷で作った村「しかりべつ湖コタン」で冬を楽しみます。氷上露天風呂が名物です。

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地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

しかし、これらの観光はそれほど時間が掛かりませんから、観光客はほどなく別の観光地へ移動してしまいます。然別湖ネイチャーセンター(アウトドアガイド)を利用する場合は、1日を通して然別湖を楽しめますが、それは観光客の一部でしかありません。

このような従来の観光では、然別湖の魅力を少ししか楽しめていません。そこで、然別湖変わった視点で紹介したいと思います。ぜひ、然別湖に行く時の参考にしてください。

3.然別湖周辺の高山植物

然別湖の観光で高山植物を目的にする人は少ないでしょう。しかし、然別湖標高は800mと、北海道にあるでは最も高いです。そして、岩が積み重なった地形が数多くあり、本来は然別湖の標高にはないはずのコマクサまであります。そのコマクサは遊歩道沿いにはないので見ることができませんが、代表的な高山植物を紹介します。

ハクサンチドリ

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然別湖周辺は、ハクサンチドリがとても多いです。ハクサンチドリはお馴染みの高山植物ですが、十勝ではそれほど多くなく、観光客が目にすることは少ないです。

然別では、然別湖に行く途中にある白樺峠周辺に6月頃、ハクサンチドリが咲きます。ぜひ、白樺峠で下車して、東ヌプカウシヌプリ登山口周辺を見てください。ハクサンチドリの可憐な花を楽しめます。

もっと楽しみたいという人は、西ヌプカウシヌプリ1,200m台地に行ってみてください。色とりどりのハクサンチドリをたくさん楽しめます。西ヌプカウシヌプリ1,200m台地に咲く高山植物群落は、然別最大だと思います。私の然別イチオシポイントです。

ミヤマオダマキ

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然別湖周辺は、十勝最大のミヤマオダマキ群生地でしょう。十勝ではあまりミヤマオダマキを見る印象がないですが、然別湖周辺では5月下旬ころからミヤマオダマキがいっぱい咲きます。

特に、士幌高原から白雲山へ向かう登山道には、ミヤマオダマキがほんと多いです。さらに、ミヤマスミレも咲いて、ほんと楽しい登山になります。おすすめです。

チシマセンブリ

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7月から8月にかけて、チシマセンブリが咲きます。チシマセンブリの花はとても小さいので、ミヤマリンドウが咲いているのかと錯覚します。しかしよく見ると、とても鮮やかな花であることが分かります。肉眼ではわかりづらいので、マクロレンズを通して見ると良いでしょう。

エゾオヤマリンドウ

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8月中旬を過ぎると、主な高山植物は終わり、寂しくなります。しかし、その寂しさを癒してくれる高山植物エゾオヤマリンドウです。エゾオヤマリンドウは、9月いっぱいまで登山道に花を添えてくれます。然別湖周辺も、エゾオヤマリンドウがとても多いです。

4.然別湖の釣り

然別湖には、オショロコマの亜種、ミヤベイワナがいます。ミヤベイワナは、然別湖を海とし、ヤンベツ川を産卵の川とする特殊な進化を遂げた魚です。特筆すべきは、青い魚体※です。これは、普通の河川にいるオショロコマではないことです。青く光った魚体の美しさは、サケ科No.1だと個人的に思います。

出典:YouTube

そのミヤベイワナを釣ることができます。然別湖は基本的に禁漁ですが、1年に2~3回、釣りに開放されます。ミヤベイワナは釣れてもリリースする必要がありますが、ぜひとも釣ってみたいという人も多いでしょう。以下のリンクで申し込みを行うことができます。

※場所によっては、青ではない個体もいるようです。

5.ナキウサギ

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登山で見たい動物No.1と言えば、ナキウサギでしょう。ナキウサギはネズミほどの大きさしかありませんが、立派なウサギの仲間です。そのナキウサギですが、声は聞こえるけれど、姿はなかなか見られません。また、普通は標高の高い山に生息します。

しかし、然別湖周辺にはナキウサギがたくさんいます。これは永久凍土があって、かつ岩場が多く冷涼な空気に包まれていることが原因と思われます。そしてアクセスの便利さもあって、たくさんのナキウサギウォッチャーがやってきます。

ナキウサギウォッチャーの数は、どんどん増えている感じです。特に、某山山頂直下にある岩場は、望遠レンズがずらっと並んでナキウサギを脅かすだけでなく、付近の高山植物が荒らされています。ナキウサギを見られる場所は、他にもあります。私は違う場所で撮影します。一箇所に固まらずに、自分なりの場所を見つけて撮影して欲しいです。

※登山道から外れてはいけません。

6.然別湖の自然を守ろう!

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天望山からの然別湖

然別湖とその周辺は、コンパクトなエリアにたくさんの観光要素が詰まった箱庭のような世界が広がっています。湖、山、温泉、動植物がこれだけ豊富なのは奇跡に思えます。その分、壊れるのも早いと言えます。観光客が増えると、キャパシティーを越えてバランスが崩れ、貴重な自然が破壊されてしまうでしょう

そうならないためにも、各人が自然に対して謙虚に接して欲しいです。

今回は、然別湖をご紹介しました。私が然別湖に行った回数は、おそらく100くらいになると思います。特に私が20代の一時期は、行かない月がないくらいでした。その然別湖ですが、昔とそれほど変わっていないという印象です。然別湖の自然が、いつまでも守られて欲しいと願わずにはいられません。