流氷砕氷船ガリンコ号 ~ アルキメディアンスクリューが迫力満点です

2018年11月22日

流氷砕氷船として北海道遺産にまで登録されている「ガリンコ号」。2021年から三代目の「ガリンコ号Ⅲ イメル」が就航しました。ガリンコ号には歴史があり、初代の前には試作機もありました。しかも、始まりは流氷観光とはかけ離れたものでした。

そのガリンコ号について紹介します。

1.試作艇1号機

試作艇
出典: オホーツク・ガリンコタワー株式会社

試作艇1号機は、アルキメディアンスクリューによる砕氷能力の検証のために作られた試作機です。一人しか乗れませんし、20馬力のエンジンが2つあるだけの小型艇でした。

試作艇では、砕氷能力だけでなく氷上の移動も能力の一つとして考慮されています。氷上ではドリルの回転で前に進むことができて、極寒の地水陸両用として使うための検証実験が行われました。この試作艇をもとに、初代ガリンコ号が作られます。

2.初代ガリンコ号

初代ガリンコ号
出典:Wikimedia Commons

初代ガリンコ号は、最初から流氷砕氷船として作られたわけではありません。最初はアラスカ油田開発での使用を目的に、実験船として作られました。船の名前は「おほーつく」で、数々の試験が行われました。

その実験後に、ガリンコ号として改造されました。アルキメディアンスクリュー4つも付いていて、氷をスクリューで巻き込んで船の重さで割るという砕氷能力は、見ていて迫力があります。

しかし元が実験船のため居住性が良くなく観光客寒さと揺れに耐える必要があったようです。そこで、ガリンコ号Ⅱが登場することになりました。

3.ガリンコ号Ⅱ

ガリンコ号2
出典: オホーツク・ガリンコタワー株式会社

ガリンコ号Ⅱは、最初から流氷観光船として作られました。重さ150トン定員195名の船になりましたが、砕氷船としては小振りです。そこはアルキメディアンスクリューで補っており、氷を割りながら進む様は迫力満点です。

4.ガリンコ号Ⅲ イメル

ガリンコ号3
出典: オホーツク・ガリンコタワー株式会社

2021年から、ガリンコ号Ⅲ イメルが就航しました。 ガリンコ号III イメルは、ガリンコ号Ⅱに比べ大型化され、重さ366トン定員235名になりました。特に大型化は、乗り心地に大きく貢献するでしょう。

また、 アルキメディアンスクリューは健在です。氷を砕きながら進む姿を楽しみましょう。

5.海洋交流館 (ガリンコステーション)

オホーツクタワー
地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

ガリンコ号ターミナルとして海洋交流館があります。中に売店ラーメン屋もある観光施設ですが、流氷に関する研究施設としての役割も担っています。

6.オホーツクタワー

オホーツクタワー2
出典:Wikimedia Commons

海洋交流館から北側に伸びる防波堤の先に、オホーツクタワーがあります。特徴は海上にあることで、タワー基礎部分海の下です。

地下の窓からは、海面下の海を見ることができます。流氷海面が覆われた時は、流氷を下から見上げることになります。また、地下には水槽がいくつかあり、クリオネなどのオホーツクの生物が展示されています。

クリオネ
出典:フォト蔵

2階オホーツク海に関する展示があり、3階展望室になっています。3階からはオホーツク海が一望できますし、遠く知床を望むことができます。

7.オホーツク流氷科学センター

流氷科学センター
出典:Wikimedia Commons

流氷が訪れる時期に紋別へ足を運べないという人は、オホーツク流氷科学センターに行ってみましょう。ここには、-20度厳寒体験室があって、中に流氷が置かれています。そのため、いつ訪れても流氷を体験できますし、流氷に関する展示も多く、学びながら楽しめます。

道の駅が併設されているので、食事おみやげの購入にも便利です。

8.アクセス

紋別は、札幌から遠い場所にあります。で行く時は、旭川紋別自動車道浮島インターで降りて、国道273号線を紋別に向かって進みます。冬は天候が悪い時も多いので、運転には十分注意してください。

車の運転に不安なら、都市間バスを利用すると良いでしょう。札幌から旭川を経由して紋別へ行く便があります。その他、JR石北本線遠軽まで行ってから紋別行きバスを使う方法もあります。

北海道以外から紋別へ行くのであれば、飛行機を使うと良いでしょう。羽田空港からオホーツク紋別空港へ便が出ています。