豊平峡ダム ~ 札幌市の秘境は紅葉の名所!

2022年10月28日

豊平峡1

札幌市街から中山峠方面へ進み、定山渓温泉を過ぎると、国道230号から分かれて豊平川上流へ向かう道があります。そこを先に進むと豊平峡があり、さらに進むと北海道では二つしかないアーチ式のダム「豊平峡ダム」があります。

そして、豊平峡ダム周辺からさらに上流の豊平川流域は、容易に人が入れない秘境となっています。200万都市札幌にこんな秘境があるなんて信じられません。そんな豊平峡ダムと周辺についてご紹介します。

1.豊平峡ダム

豊平峡ダム地図
地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

豊平峡ダムは、高さが102mあるアーチ式のダムです。北海道でアーチ式のダムは他に奥新冠ダムしかありません(※)。アーチ式のダムは地盤が固い場所に限られるため、数が少ないです。しかし、そのアーチの美しさから、ダムの中では特に人気があります。

パッと見では、豊平峡ダム黒部ダムと勘違いする人がいそうです。日本で恐らく一番人気の黒部ダムですが、豊平峡ダム黒部ダムのような外見をしています。また、地盤ががっちりしている場所に造られていることから、急峻な地形の風景と、紅葉が映えるところも似ています観光放水が行われることも同じですね。

そして豊平峡ダムへの交通手段に電気バスが使われることも、黒部ダムに似ています。このように、スケールこそ大きく違いますが、豊平峡ダムプチ黒部ダムの要素を持っていると思います。

豊平峡ダムによって出来た湖は「定山湖」と呼ばれます。なぜか、豊平湖ではありません。さらに、定山渓豊平川に合流する小樽内川にあるダムが「定山渓ダム」であり、出来た湖が「さっぽろ湖」です。非常にややこしいです。

※奥新冠ダムは、日高山脈の最高峰、幌尻岳(2,052m)のふもとにあり、ダム関係者か登山者、釣り人しか行くことがない秘境です。歩くにしてもゲート地点から18kmも歩く必要があり、断崖絶壁の林道は高所恐怖症の人では無理なくらい過酷です。

2.電気バスでダムサイトへ

豊平峡2

豊平峡ダムへは自家用車では行けません。ダム下流にある冷水トンネルからは、電気バスに乗るか、歩いて行く必要があります。徒歩でも行けないことはありませんが、トンネル内の歩行が結構苦痛です。途中にある九段の滝などを見るには歩く必要がありますが、もし歩くのなら帰りの下りが良いでしょう。

普通は電気バスを使います。電気バスと言っても充電にエンジンを使うので、ハイブリッドバスと言った方が良いかもしれません。しかし、エンジンでバッテリーを満充電して、バッテリーが切れるまでバッテリーのみを使ってモーターを回すので、限りなく電気自動車に近いと言えるでしょう。

3.ダムサイト周辺

ダムサイトには、ダムの管理事務所ダム資料館レストランなどがあります。管理事務所ではダムカードがもらえますし、資料館では豊平峡ダムを詳しく知ることができます。

また、少し高台にレストランがあります。見晴らしがとても良い場所にあるので、景色を眺めながらの食事は最高です。

豊平峡ダムの上へは、橋を渡って行きます。ダムの下を覗けば豪快な放水が眺められますし、下流側の豊平峡の険しい峡谷も素晴らしいです。

4.定山湖から上流の豊平川

豊平峡4

定山湖から先の豊平川は、幾つもの支流に分かれながらも、支笏湖の外輪山まで続きます。地図で見ると円形の広大なエリアであることが分かります。しかし、このエリアは林道しか存在せず、歩いて入るしかありません。(入るにしても、営林署の許可、もしくは確認が必要だと思われます)

また、林道を歩くにしても、国道230号から定山湖に架かる豊平峡大橋へ向かう林道を進む必要があります。そして渡り切った先は、人の住まない秘境です。このような秘境が札幌市に残されたのは奇跡に思えます。このエリアで一度は釣りをしてみたいです。

5.豊平峡温泉

豊平峡5
出典:ウィキメディア コモンズ

国道230号から豊平峡への道へ入ってほどなく、豊平峡温泉があります。豊平峡温泉のお湯は、定山渓温泉のような無色透明ではなくて、淡黄色です。また、お湯に炭酸カルシウム鉄分が含まれており、床に成分がこびりついています。まるで鍾乳洞のような姿は、札幌市にある温泉とは思えません。札幌市でも最高クラスのお湯と言って良いでしょう。

また、紹介するまでもなく有名ですが、豊平峡温泉カレー料理は本場の外国人の方が調理する本格的なもので、これを目当てにやってくる観光客も多いです。

札幌市街から遠いですが、札幌市内の温泉であるため、休日は混んでいます。できれば平日に、大きな露天風呂と食事を楽しんでゆっくりしたいですね。

6.定山渓温泉の先は見どころいっぱい

豊平峡6
さっぽろ湖

今回は定山渓温泉から先の豊平峡を紹介しましたが、定山渓から先には他にも小樽内川流域白井川流域があります。

小樽内川には定山渓ダムがあり、さっぽろ湖が形成されています。こちらはそれほど険しい地形ではなく、一般の観光客も容易に訪れることができます。

小樽内川上流には札幌国際スキー場があり、札幌最大のスキー場として多くの人が訪れています。また、紅葉もきれいで、ゴンドラに乗って見る景色は絶景です。

白井川の流域ですが、昔は豊羽鉱山があって賑わった場所です。今は静けさを取り戻しましたが、今も鉱山跡から水蒸気が立ち上っていたりして当時の面影がまだ残っています。今後、地熱発電で活気が戻って来るかもしれません。

どちらの流域も、個人的には釣りで良く行きました。また、豊羽鉱山からは札幌の名峰、無意根山へ登山することができます。札幌の最高峰、余市岳へ向かう登山道もありましたが、今は廃道状態です。

このように、定山渓温泉の先には豊平峡をはじめとして数多くの観光地があります。ここが札幌市内なのです。日帰りが十分できる場所ですから、ぜひ訪れて楽しみましょう。