帯広市野草園 ~ 十勝平野にある野花が凝縮してあります
帯広市にある緑が丘公園の一角に「帯広市野草園」(以降、野草園)があります。緑が丘公園には帯広動物園や児童会館、帯広美術館、百年記念館などの公共施設が集中していますが、野草園は開拓前の十勝平野が残される貴重な場所として昔から愛されています。
野草園は管理人が常駐して整備されており、誰でも安全に野草を観察できます。特に開園直後から5月は、野花が咲き乱れてきれいです。
そこで今回は、野草園に咲く代表的な野花をご紹介しましょう。
カタクリ 4月末
カタクリは、開園と同時に咲いていることが多いです。しかも暖冬の年だと、開園時で既にピークを過ぎている場合もあるので、開園時期を早めて欲しいです。
野草園周辺の森だとカタクリは咲いていません。野生のカタクリを見るなら、日高山脈の裾野まで行かないと見れないので、野草園のカタクリは貴重です。
カタクリと同様に水芭蕉も、開園時には旬を過ぎていることが多いです。
※2024年は臨時開園期間が設けられて、4月14日から開園しました。15時で閉まりますが、カタクリもこれで見れるようになりますね。ちなみに、4月27日に行ったのですが、もう終わりかけでした。
シラネアオイ 5月初旬
春の登山で良く見られる高山植物のシラネアオイが、野草園で見れます。しかも、登山では6月に見る花なのに、5月初めで見れてしまいます。
大きな花※なので、とても目立ちます。登山をしない人にもぜひ見てもらいたい野花です。
※外側の紫部分は、実は花ではありません。
アズマイチゲ 4月下旬 ~ 5月上旬
アズマイチゲは、福寿草の次に咲く早咲きの野花です。道央で良く見るキクザキイチゲは、十勝平野中央部にはありません。
とても清楚な花で、気品があります。
オオバナノエンレイソウ 5月
オオバナノエンレイソウは、春の十勝平野を埋め尽くすほどの広い勢力を持つ野花です。花自体も大きくて大群落を作るので、とても目立ちます。
でもよく見ると、形がそっくりなのにずっと小さい野花があることに気が付きます。これはミヤマエンレイソウです。控え目なところが個人的に好きです。
十勝平野中央部には、エンレイソウがとても少ないです。私が知る唯一の場所も、最近咲くのを見れなくなりました。道央では普通に見られるエンレイソウが十勝では見れないのが少し残念です。(十勝南部にはありそう)
サクラスミレ 5月中旬~下旬
サクラスミレは、スミレの女王と呼ばれる気品のあるスミレです。一番よく見るのはタチツボスミレですが、サクラスミレは群落を作らず、凛として咲いています。
オクエゾサイシン 5月中旬~下旬
良く見て歩かないと見逃しますが、山奥に行かないと出会えないオクエゾサイシンが咲いています。上の写真でも分かりずらいですが、葉の根本に紫色の花が咲いています。
ザゼンソウを小さくしたような花ですが、ユニークさで野花愛好家には人気があります。
帯広市を代表するクロユリやスズランは少ない
帯広市の花はクロユリですし、スズランも代表的な花として知られていますが、実際のフィールドで見つけることは難しいです。特にクロユリを付近の森で見たことがないですし、スズランも限られた場所でしか確認できません。
野草園でも、これら2つは自然にあるというよりも、植えられて管理されている印象が強いです。十勝も自然が失われているのです。
身近な自然に触れてみよう
野草園の野花について紹介してきましたが、まだまだ紹介したい花がたくさんあります。それらは、ぜひ皆さんが実際に行って、目で確かめてください。
野草園の開園期間は、4月29日から10月31日までです。整備が行き届いていますから、1時間ほど時間が空いたら足を運んでみてはいかがでしょうか。
帯広市野草園の公式サイトは以下のとおりです。イベントが随時行われていますので、参加するのも良いでしょう。また、PDFのパンフレットがありますから、ダウンロードしておきましょう。
野草について詳しく知りたい方は、姉妹サイト「Wildflower北海道」を、ぜひご覧ください。