三国山 ~ 北海道の分水嶺

2023年3月1日

北海道大分水点から三国山

日本全国に三国山という名前の山は数多くありますが、北海道にもあります。北海道は一つの広域的地方公共団体であるのに、三国とはどういうことでしょうか。そして、三国山には、あまり知られていませんが登山道もあります

それでは、紹介していきましょう。

1.三国山の概要

三国山は、大雪山国立公園の中央部、三国峠近くにある標高1,541mの山です。三国の名前の由来ですが、石狩十勝オホーツクという北海道三地方の境界にあることから名前が付きました。ただし、今の石狩地方札幌周辺であり、実際に境界となるのは上川地方ですが、上川地方側は石狩川の源流部になり、古い区分であれば石狩に該当します。同じような例として、三国峠の西には十勝石狩を結ぶ峠、十石峠もあります。

このように、山としては大雪山の中では小兵に過ぎない三国山ですが、地形的には特異点となる存在になっています。

2.三国山登山

地図は地図アプリ「日本周遊マップ」より

三国山登山道は、登山道が開削されたというよりは、登山者の踏跡が登山道となったという方が正解でしょう。私が初めて登った頃は、沢沿いを歩いて進み、尾根に上がれそうな適当な場所から登りました。今も藪の深い部分があるようです。

登山口は、三国トンネル上川町側です。三国トンネル出口付近には、大きな駐車場があります(トイレはない)。三国トンネルの標高は1,100mを越えており、三国山山頂までは標高差が400mほどしかありません。

三国トンネル出口からしばらくはシェルターになっていて、その東側を歩いていくと登山口があります。登山口からは、沢沿いの道を進みます。沢の水量は少ないので、登山靴を濡らすこともないでしょう。

沢の水量が少なくなると、登山道は稜線へ向かいます。そして稜線に着くと、展望が広がります。さらに、しばらく進むと地理院地図にも載っている北海道大分水点があります。

北海道大分水点には、立派な石碑があります。私が行った頃は木で出来ていましたが、新しくなりました。この北海道大分水点を源流とするのが、石狩川支流のユニ石狩川一の沢十勝川支流音更川六の沢常呂川支流無加川です。まさに、北海道を代表する国の分水点となっています。

北海道大分水点の先に、目指す三国山があります。昔は藪が濃かったですが、今も若干藪気味だそうです。そして、ハイマツが生い茂る三国山に到着します。

三国山山頂からの眺めは、想像以上に素晴らしいです。

登山データ

登山時間:登り1時間30分
標高差:400m

3.三国山からの眺め

三国山は標高こそ周りの山よりも低いですが、三国の分水嶺にあるためか展望がとても良いです。

ユニ石狩岳の背後に、音更山石狩岳が見えます。標高1,900mを越える石狩連峰は、日高山脈と変わらない山深さを感じます。

表大雪が見えます。北海道第三位の高峰、白雲岳(2,230m)など、2,000m峰が連なっています。鋭さはありませんが、広大な高原台地が広がっていることが分かります。

東大雪の主峰、ニペソツ山(2,013m)が見えます。実はニペソツ山の山頂部が少し見えているだけであり、大部分は手前の天狗岳が見えている状態です。

北大雪方面です。ニセイカウシュッペ山や平山などが見えています。大雪山国立公園の広さが分かります。

クマネシリ山塊ですが、写真は雲を被ってしまい良く見えません。北側から見るクマネシリ山塊は、普段見る方角と異なるため、新鮮です。

十勝三股盆地が眼下に広がります。ここはカルデラ地形であり、水を湛えた時期は壮観な眺めだったでしょう。

このように、三国山は意外にも展望が素晴らしい山です。一度は登っておくべきでしょう。

4.初めて自然度が高い山へ登る時におすすめ!

出典:Wikimedia Commons 三国峠(十勝側)から三国山山頂方面

高い山に登れるようになっても、人里離れた自然度の高い山域での登山は別の登山技術が要求されます。例え標高が低くても自然度の高い山では、ルートファインディングビバークへの備え、ヒグマなどの害獣への対処などが要求されます。

そのような自然度の高い山へ登る第一歩として、三国山登山は適しています。三国山は自然度が少し高い山ですが、近くに国道があり、三国トンネルもすぐそばにあることから、何かあっても戻れる安心があります。これが他の自然度が高い山であれば、いきなり遭難レベルまで追い込まれるかもしれません。

そこで、まずは三国山で味わってみましょう。三国山で雰囲気を味わったら、三国山から見えるユニ石狩岳を登ると、自然度が高い山も登れるようになると思います。そのユニ石狩岳はとても魅力的な山ですから、後ほど紹介したいと考えています。

マイナーで知名度が低い三国山ですが、とても魅力的な山でした。ぜひ、登ってみてください